遺書と遺言書とエンディングノート
遺書と遺言書の違い
遺書とは
遺書とは、死後のことを考えて、自分の思いや気持ちを伝えるために書きのこした文書や手紙のことを言います。遺された人に書く手紙の意味合いが強いものです。
書き方などに決まりはありません。法的な拘束力もありません。
エンディングノート
エンディングノートは万が一に備えて、遺された家族のために共有しておきたい情報や、自分の人生や経歴を振りかえった内容を記すためののノートです。
暮らしに欠かせない大切な情報を書き留めておくことで自分の健忘録としても活用できます。エンディングノートにも法的効力はありません。
遺言書とは
遺言書とは財産(遺産)を誰にどれだけ渡すか、事業や不動産などの管理を誰に託すかなど生前の意思表示を民法によって定められた方式に伴って作成された、法的効力を持つ公的な文書です。きちんとした遺言書を残すことにより、遺族のトラブルを未然に防ぐことができます。
遺言書は正しく書かないと法的効力はなく、無効とされてしまいます。
また、遺書として書かれた文書でも法定条件を満たしている場合は遺言書として扱われます。
遺言書には3つの種類があり、書き方や作成費用なども変わります。
遺言書でできること
遺言書でできる主なことについて説明していきます。
遺言書は遺言者の最後の想いを伝えるものです。せっかく遺言書を残すのであれば、相続人同士が遺産相続でモメたりトラブルになったりしないよう法的効力があることに重点をおき、相続人に「こうしてほしい」という希望があれば付言事項として残しましょう。
相続人以外の人へ相続財産を渡したい
相続人ではないけれど、自分の遺産を残したい方がいる場合は、遺言書に書くことでその方へ財産分与することができます。
相続させる財産の割合を指定したい
「法定相続分」という民法で定められた相続割合があります。法定相続分と異なる割合で遺産を相続させたい場合は遺言書に明記します。
遺言書で相続分の指定をすることで、「相続人Aには5分の4、相続人Bには5分の1を相続させる」と法定相続分とは異なる相続割合で指定することができます。
相続させる財産を相続人ごとに指定したい
「不動産は相続人A、預貯金は相続人Bへ相続させる」など、特定の財産を相続人ごとに指定することで、自分の希望に沿った相続が行えます。
遺言執行者の指定をする
ゆいごんしょのn遺言の内容を実現させるために相続手続きを行う人を遺言執行者と言います。
遺言執行者は相続財産目録を作成したり、各金融機関での預金解約手続き、法務局での不動産名義変更手続きなど、民法で定められた権限が与えられます。
選ぶことができるのは遺言者本人か、その遺言者から遺言執行者の指定を頼まれた人か、家庭裁判所の3者に限られます。
可能な限り遺志を実現するをするために、相続手続きに詳しい知識を持った人を遺言執行者に指定することで、安全かつスムーズに手続きを進められるでしょう。
遺言書の種類
自筆証書遺言
本人が自筆で書く形式の遺言です。
使用する用紙については特に指定はないため、どのような紙でも大丈夫です。
相続に関する民法の改正法案により、自筆証書遺言のうち、財産目録の部分については自署する必要がなく、パソコンで作成してもよいこととされました(改正民法968条2項)。
ただし、自署以外の方法により記載したときは、全ての頁に署名押印しなければならないものとします。
また新たに、法務局において遺言書を保管する制度(「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」)が創設されることとなりました。本改正により、自筆証書遺言の保管場所が確保され、検認手続きも不要となります。
また、自筆証書遺言は 家庭裁判所で遺言書の検認を受け、自筆である証明を受けないといけません。 勝手に開けてしまうと法律違反となり、罰金を支払うことになるかもしれません。
公正証書遺言
公証人は、証書の原本と正本を作成し、正本は遺言者が持ち、原本は公証役場に三十年間保管されます。公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が関与しますから、遺言書が無効になることは基本的にありえません。また、家庭裁判所による検認が不要ですから、相続人の負担は軽くなります。 証書原本が公証役場に保管されるので、紛失・偽造のおそれもありません。
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、まず遺言する人が自分で作成した遺言書を公証人のところまで持っていき、遺言書の「内容」を秘密にしたまま、遺言書の「存在」のみを公証人に証明してもらいます。
保管は遺言書本人になりますので、開封時には家庭裁判所での検認が必要です。
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